経済学とは　経済学入門

 市場経済は、どのような財をどのように生産するかだけでなく、誰のために生産するかも決定します。市場が家計間に財を分配する方法を受け入れがたいと考える人たちもいます。FRBのグリーンスパンいわく、「富を生み出すための資本主義の有効性を認める一方で、市場が富を分配する方法と、生々しい競争が社会に与える影響に対して、相当の不安を持つグループがいる。」
オークションの入札と同様に、市場参加者が何を望み、どれだけ支払えるかは彼らの所得次第です。職業による所得格差も明らかに存在します。市場で高い評価を得る技術を持たない人は、外部からの補助金なしには自分の子どもに食べさせることも教育を受けさせることもできないような低い所得しか得ていません。政府は、所得の公平性を高めるように援助を行っています。
しかし、市場の持つ分配面への影響を和らげるような手段がとられることによって、経済的なインセンティブが弱められる恐れがあります。生活保護の至急は貧困層にとって重要なセーフティネットですが、その資金調達のために人々に課税すると、人々の労働意欲や貯蓄意欲は低下するかもしれません。政府が個人の所得の多くを税金として取ってしまうと、人々はあまり働こうとは思わなくなるでしょう。また、政府が貯蓄から得られる利子の多くを取ってしまうと、人々は支出を増やし、貯蓄を減らそうとするかもしれません。このように、所得を再分配しようと政府が努力すると、経済的な効率性は損なわれるかもしれないということです。

アメリカ経済は基本的に個人の意思決定に基づいて機能しています。このことは、個人の意思決定に頼るのが適切で勝つ、必要であるという経済学者の信念を反映しています。しかし、他方では経済学者は、特定の政府介入は望ましいとも信じています。公共部門と民間部門の間で適切なバランスを取るのと同様に、公平性への関心（公平問題）と効率性への関心の間でも適切なバランスを取ることが、現代経済の中心的な問題なのです。分配面での政府介入という局面でもトレードオフが浮上するということですね。